【茶婚式】和婚の新スタイル!挙式の流れや魅力、費用をご紹介

前回の記事「【人前式の演出】入場から退場まで!感動と笑顔あふれる人気アイデア集」では、人前式の演出について詳しくご紹介しました。
この記事では結婚式スタイルのひとつ「茶婚式」についてみていきましょう。
みなさんは「茶婚式」という挙式スタイルを聞いたことがありますか?
茶婚式は「和婚」の新しいカタチといわれていて、最近注目を集めています。
茶婚式は日本の伝統文化である茶道の精神を取り入れた挙式スタイルですが、
「茶婚式って何をするの?」
「茶道に馴染みがないのに挙げられるのかな?」
「作法が難しそう…」
などさまざまな疑問が出ている人もいますよね。
そこで今回の記事では、茶婚式の流れや魅力を詳しくご紹介します。
気になる費用についても触れているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
茶婚式とは

茶婚式(ちゃこんしき)とは、茶道の精神や作法を取り入れた挙式スタイルのことです。
茶婚式は宗教の要素がないため、特定の宗教に左右されずに結婚式を挙げられるのも特徴のひとつ。宗教色がないのは人前式と同じですが茶婚式には神前式の儀式も取り入れているので、落ち着いた和の格式が保たれた挙式となります。
茶道の「一期一会」の精神に則り、茶室という特別な空間で、新郎新婦と参列者が心を通わせながら、思い出深い挙式を実現できます。
人前式と神前式の良いところを取り入れた和やかな雰囲気の挙式をしたい人にぴったりですよ。
茶道の精神とは?
「茶道の精神」と聞いても、どのような事なのか分からない人もいますよね。茶道の精神とは茶道の心得である「一期一会」や「和敬清寂」などを指します。

一期一会
人との出会いは生涯一度限りであると心得て、心を込めておもてなしすること。たとえ同じ人と毎日会う関係であっても、その時その瞬間は二度と訪れない貴重な機会として、真心を込めて向き合うという茶道の教えです。この精神は、人と人との出会いを大切にする日本の伝統的な価値観を象徴的に表現しています。
和敬清寂
主人と客人がお互いの心を和らげて敬い、雰囲気を清浄に保つこと。この精神は、人との関わりにおいて調和(和)と敬意(敬)を大切にしながら、清らかさ(清)と簡素な美(寂)を追求する茶道の真髄を表しています。茶室という特別な空間で、この四つの要素が融合することで、茶道独自の静寂な美の世界が生まれるのです。
茶婚式は参列者がお互いに和み敬い合い、両家の絆を深めることを目的としています。
主役の新郎新婦はもちろん、両家の家族や親しい参列者たちが、茶道の「和敬清寂」の精神のもと、心を込めたお点前と茶菓を通じて心を通わせます。厳かでありながらも温かな雰囲気の中で、新しい家族の誕生を祝福し、末永い幸せを願う – そんな日本の伝統的な結婚式の形式の一つなのです。
茶婚式の歴史
一説では、1990年代後半に東京の老舗茶道具店が始めたのが起源とされています。
当時、日本の伝統文化を大切にしながらも、宗教色のない新しい結婚式のカタチを求める声が高まっていました。そこで茶道の精神である「一期一会」と「和敬清寂」を結婚式に取り入れ、神前式の厳かさと人前式の自由さを併せ持つ茶婚式が生まれました。
以来、日本の伝統文化に触れる特別な体験として、また両家の絆を深める温かな儀式として、少しずつ広がりを見せています。
茶婚式はどのような会場で挙げられるの?

茶婚式では茶人が「お点前(おてまえ)」を披露できる場所が必要になるため、茶室がある会場を選ぶ必要があります。
茶室が設置されている日本庭園や料亭、古民家レストランや最近では茶婚式に対応している専門式場も出てきているようです。茶婚式の後に庭園で写真撮影したり親族と食事会を開いたりできる会場を選ぶと◎。茶婚式に対応している会場はまだ少ないので、事前に茶婚式ができるかどうかしっかり確認しておくようにしましょう。
茶婚式の流れ

茶婚式はあまり馴染みのない挙式スタイルなので、どのような挙式の流れになるのか気になりますよね。
一般的な茶婚式の流れは以下の通りです。
参列者着座
↓
新郎新婦入場・着座
↓
濃茶手前(こいちゃてまえ)
↓
夫婦固めの儀
↓
誓詞奏上(せいしそうじょう)
↓
親族固めの儀
↓
指輪交換
↓
新郎新婦・両家両親一礼
所要時間はおよそ1時間程度です。
それぞれの項目について詳しくみていきましょう。
参列者着座
はじめに両家の親御さんや親族など参列者、お茶を点ててくれる茶人、茶婚式の進行を務める司会者が順に入場し着座します。
所要時間:5分
新郎新婦入場・着座
参列者が着座後、新郎新婦も入場し着座します。
所要時間:5分
濃茶手前(こいちゃてまえ)

最初に行われるのが濃茶手前です。
濃茶手前とは、この後の儀式で新郎新婦が飲み交わす濃茶を茶人が点てる儀式のこと。茶婚式では茶道では上質とされている濃茶を使用し、濃茶を入れる茶碗も格式が高く品のあるものを使用します。この濃茶は通常のお茶よりも濃厚で深い味わいを持ち、その一服を共に飲み交わすことには、二人の絆を深める象徴的な意味が込められています。特に茶婚式では、新郎新婦が同じ茶碗から飲むことで、二人の心が一つになることを表現する大切な儀式となっています。
所要時間:10分
夫婦固めの儀
夫婦固めの儀とは、茶人が点てた濃茶を新郎新婦が飲み交わして夫婦の契りを結ぶ儀式のことです。
1つの茶碗に入れた濃茶を新郎新婦が交互に飲むことで、ふたりは固い絆で結ばれて永遠の愛を誓います。夫婦固めの儀は神前式でも行われる「三献の儀」や「三々九度」と同じ儀式です。神前式ではお酒を飲み交わしますが、茶婚式では濃茶になるのでお酒が苦手な新郎新婦も安心できますね。この儀式は茶道の「一期一会」の精神が込められており、二人で一つの茶碗から濃茶を共有することには、これからの人生を共に歩んでいくという深い意味が込められています。心を込めて点てられた一服の濃茶には、二人の幸せを願う茶人の思いも宿っているのです。
所要時間:5分
誓詞奏上(せいしそうじょう)
誓詞奏上とは神前式でも行われる儀式で、新郎または新郎新婦のふたりで誓いの言葉を読み上げることです。
誓いの言葉は、結婚の報告・夫婦の誓い・締めの言葉の3つで構成されるのが一般的。会場で定型文が用意されていることが多いですが、新郎新婦おふたりで誓詞奏上を作成することもできます。誓詞奏上はおふたりで結婚を誓う茶婚式の重要な場面なので、しっかりと練習しておくと安心ですね。
所要時間:5分
親族固めの儀
誓詞奏上で誓いを立てた後は、新郎新婦を含めた参列者全員で茶人が点てた濃茶とお茶菓子をいただきます。
親族固めの儀は家族の絆を深める厳粛な儀式ではあるものの、お茶会のように会場全体が和やかな雰囲気になるのが魅力。親族固めの儀も神前式でも行われる儀式で、神前式では参列者全身でお神酒を飲みます。この儀式は、心を込めて点てられた一服のお茶を共に味わうことで、参列者全員が心を通わせ、新たな家族の絆を深めていく貴重な時間となります。お茶の持つ「和」の力によって、厳かな中にも温かな雰囲気が自然と生まれるのです。
所要時間:15分
指輪交換

茶婚式の最後は、新郎新婦が指輪交換を行います。
親族固めの儀の後なので、緊張感がほぐれて和らいだ雰囲気の中で落ち着いて指輪交換ができますね。この時間は、お茶を共に味わい、心が穏やかになった状態で行われるため、新郎新婦にとって特別な思い出となる瞬間です。お互いを敬い、和やかな気持ちで指輪を交わすことは、これからの人生を共に歩んでいく二人の誓いをより一層深いものにしてくれます。
所要時間:5分
新郎新婦・両家両親一礼
指輪交換の後は、新郎新婦が列席者に一礼して退場し茶婚式は終了です。
このように茶婚式は神前式の流れと共通する部分もありますが、茶婚式の方がシンプルで和やかな雰囲気で行われます。
上記の流れは一般的なもので、会場によって茶婚式の進行が誓うこともあるので事前に確認しておくといいですね。
所要時間:3分
茶婚式の魅力

格式が高いながらも和やかな雰囲気
先ほどからご紹介しているように、茶婚式は神前式の儀式を取り入れているため厳格で格式の高い挙式スタイルです。しかし、その中でも参列者全員で濃茶を飲んだりお茶菓子を食べたりするため、和やかでアットホームな雰囲気になるのが魅力。茶室はそれほど広い空間ではないことが多いので、参列者同士の距離が近く打ち解けやすいのもポイントですね。
茶道という日本の伝統文化を感じられる

茶道は日本古来の伝統文化であるものの、日常生活の中で茶道に触れたことがある人は少ないはず。茶婚式では茶道という日本の伝統文化を感じられるのも魅力のひとつです。新郎新婦だけではなく列席者も濃茶を味わえるので、ゲストにとっても特別感があり印象に残る挙式になるでしょう。茶道と聞くと難しそうに感じてしまう人もいるかもしれませんが、ご紹介したように挙式の進行はとてもシンプルなので新郎新婦やゲストもリラックスして参列できますよ。
両家の距離が縮まりやすく一体感が生まれる
茶婚式では親族固めの儀など、両家の親族が親族となった誓いを交わし両家の繋がりを強くする儀式があります。両家の絆を感じられる儀式があるため、両家の距離が縮まりやすいのが魅力。
また、茶婚式では茶室に入れる人数は限られるため、家族や親族のみを招待することが多くなります。少人数でお茶やお茶菓子をいただくので、自然と心の距離が近くなり一体感が生まれやすいのもポイントですね。
このように茶婚式は、茶道の「和敬清寂」と「一期一会」の精神を大切にしながら、格式高く、なおかつ温かみのある結婚式を実現できるスタイルです。新郎新婦と両家の絆を深め、参列者全員が心を通わせながら、日本の伝統文化の中で新しい家族の門出を共に祝福できる、これこそが茶婚式の魅力です。
茶婚式にかかる費用
茶婚式は茶室を用意したり茶人を手配したりするため、費用が高くなるのではないかと心配している人もいますよね。
実は、茶婚式にかかる費用は15~20万円程度と言われています。この中に茶室の使用料や挙式の進行料も含まれていることが多いため、他の挙式スタイルよりも費用を抑えられるようです。
ただし、この費用には衣裳やヘアメイク代は含まれていないので注意が必要。茶婚式は和装で行うのが基本となり、衣裳によっては費用が高くなることもあるのでしっかり予算を立てて衣裳選びをするようにしてくださいね。
茶婚式の事前打ち合わせについて

茶婚式では、通常の結婚式の打ち合わせに加えて、茶道に関する特別な確認事項があります。
挙式の約2~3ヶ月前には、会場やプランナーと詳しい打ち合わせを行うことをおすすめします。特に茶道経験のないおふたりは、当日スムーズに進行できるよう、以下の項目をしっかりと確認しておきましょう。
主な確認事項
- 茶室の収容人数と参列者の着席位置
- 使用する茶碗や茶器の種類と格式
- お茶菓子の内容と提供方法
- 茶道具の手配(会場提供か外部手配か)
- 茶人との事前顔合わせの可否
- 茶道経験の有無による事前練習の必要性
- 濃茶の飲み方の作法説明
- 各儀式での立ち居振る舞いの確認
- 和装での所作の練習機会
- 写真・ビデオ撮影可能なタイミング
- 季節に応じた茶室の設えや装飾
- 緊急時の対応(体調不良時など)
- 悪天候時の進行プラン
- 当日のリハーサルの時間と内容
これらの項目を事前に確認し、必要に応じて練習を重ねることで、より思い出深い茶婚式を実現することができます。特に茶道の作法や所作については、事前にご家族やご親族にも共有しておくと安心ですね。
茶婚式のQ&A
ここでは、茶婚式に関してよくある疑問についてお答えします!

茶婚式には他にどんな儀式が取り入れられるの?
茶婚式の一般的な流れについては先ほどご紹介しましたが、次のような儀式を取り入れることもできます。
水合わせの儀
濃茶手前の前に、両家から汲んできたお水を新郎新婦もしくは両家の親御さんが1つの盃に注ぎ合わせる儀式です。そのお水で茶人に濃茶を点ててもらいます。水合わせの儀には、異なる環境で育ってきたおふたりが1つの家族になり幸せに暮らしていけるようにとの願いが込められています。
引き渡しの儀
新郎が入場後に新婦と新婦父が入場し、新婦の手を新郎に引き渡す儀式のこと。一般的に茶婚式では新郎新婦が揃って入場しますが、おふたりが希望すればチャペル挙式のように引き渡すスタイルにできる会場もありますよ。
茶婚式におすすめの衣裳は?
茶婚式の場合は、和装がおすすめです。衣装に決まりはないので、おふたりの好みや会場の雰囲気に合わせて衣裳を選ぶといいですね。和の婚礼衣装には次のような種類があります。

新婦
白無垢
新婦が着る和の婚礼衣装で1番格式が高いのが白無垢です。打掛や掛下、合わせる帯や小物など全て白で統一した衣裳で、綿帽子や角隠しというかぶりものをつけるのが正式な装いになっています。
色打掛
華やかな色と柄が美しい色打掛は、白無垢と同格の婚礼衣装です。お色直しで着用するイメージがありますが、正礼装なので挙式で着用するのもOK。
引き振袖
振袖は未婚女性の第一礼装ですが、振袖をおはしょりせずにそのまま引きずって着る振袖が引き振袖です。白無垢や色打掛のように羽織物がないため動きやすいのがメリットです。
新郎
黒五つ紋付き羽織袴
新郎の和の婚礼衣裳で1番格式が高い衣裳です。黒い羽織に背中と両袖の後ろ、両胸の5か所に「家紋」が入っています。
色紋付き羽織袴
グレーや白、紺などのカラーがあるのが色紋付き羽織袴です。新婦の衣裳の色に合わせてコーディネートできます。家紋の数は3つや1つの事が多く、黒五つ紋付き羽織袴よりも格が下がるため、厳格な挙式には不向きな場合も。事前に挙式を挙げる会場に確認するようにしましょう。
まとめ
今回は茶婚式についてご紹介しましたが、いかがでしたか。
茶婚式は厳格さと和やかな雰囲気のどちらも味わえる新しいカタチの挙式です。
宗教にとらわれない人前式と、厳格な儀式を取り入れた神前式の良いとこ取りの挙式スタイルともいえます。
茶婚式は、日本の伝統文化を感じつつ両家の繋がりを深めたい人におすすめの挙式スタイルです。茶道の「和敬清寂」の精神に基づき、格式を保ちながらも温かな雰囲気で挙式を行えます。少人数での親密な空間で、新郎新婦はもちろん、参列する家族や親族にとっても心に残る特別な思い出となることでしょう。お二人らしい結婚式のカタチを探している方は、ぜひ茶婚式という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
茶婚式が気になってきた人は、ぜひこの記事を参考に検討してみてくださいね!