日本古来の挙式スタイル【仏前式】その流れとメリット・デメリット

仏前式の新郎新婦

仏前式は神前式とともに、日本古来からある挙式スタイルの1つです。
新郎・新婦が仏壇や神棚の前に座り、今生かされていること、ふたりが出会ったこと、ふたりが生まれて変わっても結ばれることを仏さまと先祖の前で誓います。仏教の教えに基づいた結婚を神聖なものとして捉え、結婚の祝福を仏様に求める意味合いがあります。
一般的に寺院で執り行われ、新郎・新婦やその家族ゆかりのお寺が選ばれることが多いですが、自宅で執り行われるケースもあります。

仏前式を執り行う際のマナー

仏前式で出席者のほうに向き正座している羽織袴と白無垢姿の新郎新婦

式場に到着する際は、静かに入場し、仏壇や神棚の前で深々とお辞儀をすることが重要です。
式の進行中は、スマートフォンの電源を切り、周囲の参列者の気持ちを乱すようなことは避けましょう。衣装は、新郎は羽織袴、新婦は白無垢や色打掛といった伝統的な和装を着用し、神聖な雰囲気を演出することが望ましいでしょう。また、数珠や白い扇子などの小物を持参し、宗教的な雰囲気を高めることも大切です。
式中の所作としては、正座などの所作を心がけ、両手を合わせて敬虔な態度で祈ることが求められます。供物の手渡しや線香の手渡しなど、宗教的な作法に沿った所作を丁寧に行うよう気をつけましょう。
式の最後には、両親や神仏に対して深く感謝の気持ちを込めて、お辞儀や拝礼を行うのがマナーとされています。新郎新婦が心を込めて祝福の意を表すことで、参列者全員で神聖な雰囲気を共有することができます。

このように仏前式は、式の意義を十分に理解し、敬虔な態度と適切な所作、そして伝統的な和装の着用が求められます。宗教的な側面を尊重し、参列者全員で厳粛な雰囲気を醸成することが大切です。

仏前式の準備

仏前式を執り行う上で、式の意義や流れ、宗教的な作法について、事前に十分に理解しておくのが良いでしょう。神社や寺院の関係者、あるいは経験豊富なウエディングプランナーなどに相談し、必要な知識を得ておきましょう。
さらに、両家の宗教観や信仰心を確認し、参列者全員が納得できる形式で式を進めるよう配慮することも重要です。宗教的な背景の異なる家族の理解を得るため、事前の調整が不可欠です。
当日の進行についても、司会者や神職など、式の進行を担当する人物を選定し、役割分担を明確にしておきましょう。また、撮影やビデオ撮影など、記録の方法についても事前に決めておくと安心です。
装飾や演出についても、宗教的な雰囲気を損なわない範囲で検討する必要があります。生花や和装小物の使用など、伝統的な要素を取り入れることが望ましいでしょう。

このように、仏前式を円滑に執り行うためには、事前の十分な準備が不可欠です。カップルは宗教的な知識を深め、両家の理解を得ながら、厳粛な雰囲気を醸成できるよう心がける必要があります。

仏前式の流れ

仏前式で羽織袴姿の新郎と白無垢姿の新婦を真ん中にして親族撮影を行っている

仏前式の流れは、まず新郎・新婦が仏壇や神棚の前に座り、仏前に向かって三拍子で礼をするところから始まります。その後、仏前で仏様にお祈りをして、新郎・新婦が結婚の誓いを立てます。誓いの内容は、新郎・新婦それぞれが自由に決めることができますが、基本的には相手を愛し、尊重し、支え合うことを誓うものが多いです。

1. 会場の準備
まず、仏前式を行うために、会場に仏壇や神棚を設置します。仏壇には、仏様や祖先様の位牌やお香、お花などを飾ります。神棚には、神様や祖先様のお守りやお神酒、お菓子などを用意します。

2. 入堂
次に、参列者が会場に着席し、新郎・新婦が仏壇や神棚の前に座ります。通常、新郎は右側に座り、新婦は左側に座ります。

3. 敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)
司婚者が、仏前式の開式の挨拶を行います。

4.  勤行(ごんぎょう)
仏壇や神棚に向かって、司婚者がお経を読み上げます。読み上げるお経は、新郎・新婦やその家族が信仰する宗派によって異なります。

5. お祈り
お経の読み上げが終わったら、新郎・新婦が仏壇や神棚に向かってお祈りをします。お祈りの際には、お香をたいたり、手を合わせたりします。

6.  司婚の儀(しこんのぎ)
お祈りが終わったら、新郎・新婦が結婚の誓いの言葉を述べます。誓いの内容は、自由に決めることができますが、基本的には相手を愛し、尊重し、支え合うことを誓うものが多いです。

7. 指輪交換
誓いの言葉が終わったら、新郎・新婦が指輪を交換します。指輪交換は、日本の結婚式では珍しい演出の一つで、感動的な場面となります。

8. 焼香(しょうこう)
新郎新婦の順に焼香を行います。

9. 誓杯(せいはい)
神前式の三三九度にあたるものです。

10. 法話
司婚者がふたりの仏前式での結婚について、お祝いの言葉とともに仏教の教えについてお話してくれます。

12. 退堂
すべての儀式を終え、新郎・新婦、両親、親族、来賓の順に退堂します。

個々の儀式や流れについては地域や宗派によって異なる場合があります。

仏前式のメリットとデメリット

手を取り合って歩く羽織袴姿の新郎と、白無垢姿の新婦

メリット

  1. 日本の伝統的な結婚式の一つであるため、格式が高く、神聖な儀式として捉えられています。
  2. 仏教の教えに基づいた結婚式であるため、相手を尊重し、支え合うことが重要視されます。
  3. 六輝に基づく吉日を気にする必要がなく、いつでも式をあげられます。
  4. 他の挙式スタイルと比べて、比較的コストが抑えて挙式をあげることができます。

仏前式は、日本の伝統的な結婚式の形式を大切にできるメリットがあります。宗教的な意味合いが強く、神聖な雰囲気を演出できるため、カップルの信仰心や家族の宗教観を反映した心の通った式を行えます。仏壇や仏具を使うことで、先祖への感謝の気持ちを表現することができ、日本文化を尊重した式となります。宗教的な背景を持つ家族や親族にも喜ばれ、式に参列する人々の心に深く残る一日となるでしょう。このように、伝統的な日本の結婚式の様式を大切にしつつ、神聖な雰囲気と先祖への敬意を表現できるのが、仏前式の大きな魅力といえます。

デメリット

  1. 宗派が違うと自分たちが望む寺院で執り行えない場合があります。
  2. 宗教色が強いため、宗教観の異なる家族や親族には抵抗感がある可能性があります。
  3. 信仰する宗派の違いによって意見がまとまらないあケースもあります。
  4. 神前式や人前式に比べ、式の進行が長くなる場合があります。
  5. 宗教的な制約から、式の演出や進行に柔軟性が少ない。
  6. 宗教的な知識がなければ、式の意味合いを十分に理解できない可能性があります。

仏前式にはいくつかのデメリットも存在します。まず、宗教色が強いため、宗教観の異なる家族や親族には抵抗感がある可能性があります。仏壇や仏具の準備、宗教的な作法の理解など、式の準備が煩雑になりがちです。また、式場の選択肢が限られ、費用が高くなりやすい傾向にあります。宗教的な制約から、式の演出や進行に柔軟性が少なく、宗教的な知識がなければ、式の意味合いを十分に理解できない可能性もあります。このように、宗教的な側面が強いことが、仏前式の実施にあたっての課題となります。カップルの信仰心や家族の理解を得ることが重要であり、事前の十分な準備が必要不可欠といえるでしょう。

まとめ

縁やつながりに感謝し、来世の繋がりも誓う仏前式。
思いの深い挙式という意味では、最も意味のある式になるのではないかと思います。 また、日本の挙式のスタイルとしては、随分と昔から執り行われているものなので、和婚を考えている2人には神前式と共に検討するべきスタイルなのではないかなと感じます。

見た目だけではなく、日本の伝統を重んじ、縁に感謝し、未来までも誓う仏前式って素敵ですよね。